三嶋龍朗(みしまたつろう)/Tatsurou Mishima
JOB:演出・脚本
第45回城戸賞 佳作 受賞作品は「上辺だけの人」
受賞後のインタビューからもわかるように、三嶋さんにとって映像に関わって10年の節目のようです。
映画を中心とした映像作品に演出部として関わってきて、今年でちょうど10年を迎えました。この10年という区切りのよい年に、自分の作品だと胸を張って言えるものを作りたいと思い、その始まりとして応募させていただき、佳作をいただけたこと本当に光栄です。
城戸賞受賞者の声より
今後、監督を目指したいとのことですが、最初の一歩の取り組みで今回の受賞は素晴らしいですね。
作品もまさか、有名女優の奥さんがいるのに・・・から始まって、その後展開から目が離せません。
では、少しだけどうぞ。
上辺だけの人のあらすじ
若くして有名脚本家となった安達博巳(35)は、女優の麻里(32)と結婚して十年目を迎えようとしてい。
おしどり夫婦と目される二人だったが、その実、その関係は破綻寸前だった。
何かを隠すように上辺を取り繕う博巳の態度が麻里を苛立たせ、口論が絶えない。
あげく麻里から「あなたのことがわからない。心がないみたい」と言われる始末。
近年は、過去作の焼き増しのような脚本ばかりで仕事も減っていた。
やっときた映画脚本のオファーも、麻里が主演を務めることを条件としたもの。
麻里には隠したまま、その脚本のプロッとを書く博巳だったが、
題材が夫婦ものであるため普段以上に書くことができない。
そんな折、かつての恋人であるケンジから電話がある。
「エイズを発症した。あなたも、すぐにHIV検査をして」との連絡。
若い頃、売れずにくすぶっていた博巳は、年上の男性に、ヒモとして養ってもらっていたのだった。
その過去については、周囲は当然、麻里にも隠していた。
すぐに検査を受ける博巳。結果は陰性。
胸をなでおろす博巳は、ケンジの元を訪れる。
当時はゲイバーを複数経営し羽振りがよかったが、今は見る影もないアパート暮らし。
咳が止まらず熱もあるケンジは、検査はしたものの治療は開始していないという。
すぐに病院へ連れて行く博巳は、ケンジに感謝される。
自宅に戻った博巳は件のプロットを書き始める。
『離婚した元妻が病気となり、そのケアをする夫』という夫婦の話。
ケンジとのことをネタにした話だったが、プロデューサーの感触はすこぶる良い。
博巳は取材を兼ねて、ケンジの病気のケアをするようになる。
そんな思惑があるとは知らないケンジ。
城戸賞応募脚本候補作品より