町田一則の紹介 脚本・演出家としての経歴や作品など

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町田一則(まちだかずのり)/Kazunori Machida
JOB:脚本・演出

2009年に演劇プロジェクトユニット「マニンゲンプロジェクト」を結成。
公演の脚本・演出を担当。

第45回城戸賞 準入賞 受賞作品は「黄昏の虹」

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町田さんは受賞するために作品を書いていたところ、自分らしさが消えてしまった
どこかで見たような作品ばかりができてしまった時期があったようです。

そこで、開き直って自分らしさを出そうと決めた作品が今回の受賞作となったようです。

作品を読みました。

奥さんがまさかの・・・驚きました。

では、あらすじをどうぞ。

黄昏の虹のあらすじ

舞台は長閑な海辺の小さな街。冬彦は老齢ながら三点倒立が出来るのが自慢である。

そんな冬彦の携帯にメールが届く。
宝くじに当選しました、という詐欺メールなのだが、冬彦とその妻、昌美はそれを信じてしまう。

が、宝くじに当たったところで欲しい物も行きたい所も特にない。
だからといってせっかく当たった宝くじである。しかしどうすればお金を貰えるのかが分からない。

昌美は東京にいる娘の佳代に電話で聞いてみてはと提案するが、冬彦はせっかくだから東京まで直接会いに行こうと言い出す。
二人はロクに荷物も持たずに、東京へと向かうのだった。

何とか東京に辿り付いた二人。
冬彦は新宿のカメラ店でハッセルブラッドという若い頃に密かに憧れたカメラが欲しいとねだる。
宝くじが当たったのだから、と。しかしそのお金はまだない。
冬彦は未練を残しつつ、とりあえず諦め、娘の住む国分寺を目指す。

そんな東京での珍道中、その最中で起こる特殊詐欺の一員である青年との出会い、そして交流。
また娘の佳代とのわだかまりのある関係。
それは佳代が若い頃に駆け落ち同然で家を飛び出したことが原因であることなどが判明していく。

そして実は妻の昌美というのは、冬彦にしか見えない幽霊であることが描かれる。

物語を通じて描かれる主調低音は妻に先立たれてしまった男、
老人の孤独、時の流れの残酷さであり、生きることの切なさやおかしさである。

やがて冬彦は無事娘と再会、和解するに至り、特殊詐欺の青年は冬彦との交流を通じて改心することになる。

冬彦は念願の憧れだったカメラを手に入れる。
が、結局のところ金で買える物で本当に欲しいものなど、何もないことを改めて知るのである。

城戸賞応募脚本候補作品より