本谷有希子の紹介 舞台女優から芥川賞作家まで

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


本谷有希子(もとやゆきこ)/Motoya Yukiko
JOB:劇作家、演出家、小説家

1979 年生まれ 石川県出身
高校卒業後、大人計画「ふくすけ」などに出演。声優としても庵野秀明監督のアニメ「彼氏彼女の事情」に出演。

2000年9月、劇団、本谷有希子を旗揚げ。
専属の俳優を持たない「プロデュース・ユニット」として活動を開始。主宰として作・演出を手掛ける。

2007年には代表作の一つである「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」が佐藤江梨子さん主演で映画化され、話題となる。

その後、数々の作品を送り出し、2015年に第154回芥川賞を受賞。受賞作品は「異類婚姻譚」。

主な受賞作品はこちら

第10回鶴屋南北戯曲賞(2006年)「遭難、」
第53回岸田國士戯曲賞(2009年)「幸せ最高ありがとうマジで!」
第33回野間文芸新人賞(2011年)「ぬるい毒」
第7回大江健三郎賞(2013年)「嵐のピクニック」
第27回三島由紀夫賞(2013年)「自分を好きになる方法」
第154回芥川賞(2015年下期)「異類婚姻譚」

本谷有希子さん
本谷有希子さん

本谷さんの魅力は、何といってもその独特な世界観。女性という幻想を壊す辛辣な描写や意外性のある独特な物語性。
読者の想像をはるかに超えるストーリーには中毒性すらあります。
ブラックユーモアもある独特な世界観は、女性ファンだけでなく、男性ファンも多く、幅広い層に支持されています。
女優をされていたこともあり、とても綺麗な方ということで作品のみでなく、本人も人気があります。
次回作品が楽しみです。


終わりに、人気作品である「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のあらすじをどうぞ。

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のあらすじ

北陸の山間の町。両親の訃報を聞いた和合澄伽は、長らく帰っていなかった実家に東京から帰省すr。
澄伽は東京で女優を目指し活動を続けていたのだが、自意識過剰な性格からか全く芽が出ず、さらに自分が売れないのは妹・清深が過去に行ったある行為が原因だと思い込んでいた。

それは澄伽が東京に出ることを決めたとき、父・曾太郎に反対され大喧嘩し、止めに入った兄・宍道の顔をナイフで切りつけてしまうという騒動がおこったのだが、それを妹の清深がホラー漫画として描き、東京の出版社に投稿したのである。

そして、それがなんと新人賞受賞作として雑誌に掲載されてしまったのだった。そのことから澄伽は妹のことを一方的に恨んでおり、清深に対していつもきつく当たっていた。

澄伽が戻ってきてからしばらく経った頃、澄伽がずっと目をつけ手紙を送り続けていた新進の映画監督・小森哲生から、澄伽をヒロイン役として次回作に起用したいとの手紙が届く。天にも昇る気持ちで浮かれる澄伽。

しかし、それと同時に妹・清深が再び漫画を投稿し、今度はグランプリを受賞したとの報せも届く。しかもその内容はなんと「姉が女優をあきらめる物語」だったのである。

その内容を聞いた澄伽は、当然のように怒り狂うのだが、いつもは何も言い返さない清深から衝撃の言葉を聞かされる。
その言葉によって澄伽は怒りに我を忘れて・・・